2021年に〈Warp〉からデビューし、ポストパンクの新境地を切り拓くような刺激的なサウンドで人気を博すスクイッドが、待望の3rdアルバム『Cowards』を2025年2月7日にリリースすることを発表した。合わせて新曲「Crispy Skin」が解禁されている。
本作のテーマは「悪」。実在する人物や想像上のキャラクターたちが、善と悪の間に横たわる暗い海に足を踏み入れていく姿を描き出している。食人が常態化する世界を描いた書籍『Tender Is The Flesh』からインスパイアされたというリードシングル「Crispy Skin」では、オリー・ジャッジによる緊張感漂う歌声が、ディストピアの世界を駆け抜けていく。あわせて公開されたミュージックビデオでは、映像クリエイター・伊藤高志の実験短編映画『ZONE』(1995) がフィーチャーされている。
「Crispy Skin」の歌詞は、カニバリズムが社会の常識となり、人間が製造されてスーパーマーケットで販売されるというディストピア小説からインスピレーションを受けてるんだ。こうした本を読むと、多くの人は自分がその中で道徳的な高みを取る人物だと想像すると思う。でも、この曲は、絶望と恐怖に満ちた物語の中で、道徳的な指針を持つことがいかに難しいかという現実について歌ってるんだ。
- Ollie Judge
顔のない男についての映画。手と足をロープで縛られた不具の男は、白い部屋の中で微動だにしない。妄想に取りつかれた男は、改造された私の自我でもある。自己の内面を表した部屋の中の奇妙な場面の数々。記憶と悪夢と、暴力的イメージを関連づけることを試みた。
- 伊藤高志
SQUID - Crispy Skin
Youtube
https://youtu.be/CqM8hhwNsJA/
配信
https://squid.ffm.to/cowards/
スクイッドは大学在学中の2015年にイギリスのブライトンで結成。メンバーはオリー・ジャッジ(ds, vo)、ルイス・ボアレス(g, vo)、アーサー・レッドベター(key,strings,perc)、ローリー・ナンカイヴェル(b, brass)、アントン・ピアソン(g, vo)、便宜的に振り分けられているもののインプロビゼーションを多用したライブの流れにより楽器担当が変化していく、いわばマルチ・インストゥルメンタル集団だ。地元のジャズクラブで初のパフォーマンスを行ったあと、ポストパンク、ジャズなどを融合させた刺激的なサウンドによりライブハウス・シーンで存在感を示すようになる。
2019年6月、ダン・キャリーのプロデュースのもと彼のレーベル〈Speedy Wunderground〉からシングル「Town Centre」をリリース。全英ツアーをソールドアウトさせ、2020年のBBC『Sound of 2020』にノミネートされるなど、ブラック・ミディ、ブラック・カントリー・ニュー・ロードらとともにUK若手シーンを牽引する存在として注目を集める。多くのレーベルからラブコールを受けるなか、〈Warp〉と電撃契約を果たし、2021年5月デビュー・アルバム『Bright Green Field』をリリース。全英アルバムチャートの4位にランクインさせる。2022年のSUMMER SONICにて初来日を果たし、エクスペリメンタルなパフォーマンスで観客の度肝を抜いた。そしてデビュー・アルバムのリリースからわずか2週間後から制作が開始されたというセカンド・アルバム『O Monolith』を2023年6月にリリース。ヨーロッパツアーの後、同年11月には単独来日ツアーを成功させた。その後も2024年には全米ツアーを敢行と、実に精力的な活動を続けている。
2025年1月24日にリリースされるサード・アルバム『Cowards』は2022年の11月から2023年4月までの6ヶ月間で制作された。つまり前作『O Monolith』がリリースされる前に同時進行でソングライティングやレコーディングといった準備が進められていたことになり、その旺盛な創作意欲に驚かずにはいられない。スタジオは前作で用いたウィルトシャーの片田舎にある《リアル・ワールド》に代わり、ポール・エプワースが運営するロンドンの《ザ・チャーチ》を使用し、マーキュリー賞受賞プロデューサーのマルタ・サローニとグレース・バンクスとともに録音されている。こうした環境の変化もこの3枚目のアルバムのムードに影響を与えているようだ。ミックスは前作に続きジョン・マッケンタイアに依頼。これまでもコラボレーションを続けてきたダン・キャリーは、アディショナル・プロダクションというかたちでサポートしている。レコーディングには5人のほか、前作で大きな役割を果たしたパーカッショニスト、ザンズ・ダガンが再び参加。アーサーがチェリストでもあることから、ルイージ・クァルテットによるストリングスが大幅に導入され新たな一面を開拓している。またローザ・ブルック、トニー・ニョク、クラリッサ・コネリーによるコーラスがアルバムのどこか瞑想的なトーン、全体がひとつの組曲のような構成を特徴づけている。
アルバムは、すでにライブで披露されていて、メンバー自ら「カニバリズムについて歌った曲」と紹介している「Crispy Skin」で幕を上げる。アルバム・タイトル曲「Cowards」はヨルゴス・ランティモス監督の『籠の中の乙女』とその影響元であるアルトゥーロ・リプスタインの『純潔の城』からインスパイアされていると明かしているように、バンドはどうやら今作において、極限状態におかれた者の心境、危機的な状況に追い込まれた人間がどんなことを感じるのか、そのことに取り憑かれているようだ。『O Monolith』の壮大な世界とは対象的に、『Cowards』は人間の奥底の狂気と悪意をリリックで捉えようとする。ちなみに、これまでもJG・バラード、マーク・フィッシャー、ナム・ジュン・パイクなど様々な文学やアートのレファレンスを隠してこなかった彼らだが、今作は他にも村上龍の『イン ザ・ミソスープ』、チャールズ・マンソンとヘルター・スケルター、フロイト、そして『ターミネーター2』まで、そのインスピレーション元は実に多岐に渡っている。
エキセントリックなシャウトを多く用いていたジャッジのボーカルや、変拍子によるテクニカルなアンサンブルは後退し、かわりに前面に出てくるのは、優美なストリングスをまとい、中世を舞台にした物語を翻案した「Fieldworks I」「Fieldworks II」で顕著なミニマリズムやバロック的音響だ。もちろん、じわりじわりと高揚していく「Blood on the Boulders」やクラウトロック的グルーヴの「Cro-Magnon Man」など、ステージに横並びで演奏するメンバーの姿が浮かんでくるスリリングな場面も設けられている。アルバムは荘厳なプロダクションがきらめく「Well Met (Fingers Through The Fence)」で締めくくられ、カタストロフィックな詩世界ではあるものの、それとは対照的なある種の楽観性が全体を貫いている。なお、ジャケットにはこれまでカサンドラ・ジェンキンスやアヴァロン・エマーソンなどを撮ったノルウェー出身・NYブルックリン在住の写真家Tonje Thilesenによる作品が使用されている。
スクイッド待望の最新アルバム『Cowards』は、2月7日 (金) にCDとLP、デジタル/ストリーミング配信で世界同時リリース。国内盤CDには、ボーナストラックが追加収録され、歌詞対訳付きの解説書が封入される。LPは通常盤(ブラック・ヴァイナル)に加え、限定盤(クリア・ヴァイナル)と初回生産限定日本語帯付き仕様盤(クリア・ヴァイナル)、そしてボーナストラックが収録された10”付きのデラックス盤 (ブラック・ヴァイナル) が発売される。さらに、国内盤CDと日本語帯付き仕様盤LPは、Tシャツ付きセットも発売決定。
本作のテーマは「悪」。実在する人物や想像上のキャラクターたちが、善と悪の間に横たわる暗い海に足を踏み入れていく姿を描き出している。食人が常態化する世界を描いた書籍『Tender Is The Flesh』からインスパイアされたというリードシングル「Crispy Skin」では、オリー・ジャッジによる緊張感漂う歌声が、ディストピアの世界を駆け抜けていく。あわせて公開されたミュージックビデオでは、映像クリエイター・伊藤高志の実験短編映画『ZONE』(1995) がフィーチャーされている。
「Crispy Skin」の歌詞は、カニバリズムが社会の常識となり、人間が製造されてスーパーマーケットで販売されるというディストピア小説からインスピレーションを受けてるんだ。こうした本を読むと、多くの人は自分がその中で道徳的な高みを取る人物だと想像すると思う。でも、この曲は、絶望と恐怖に満ちた物語の中で、道徳的な指針を持つことがいかに難しいかという現実について歌ってるんだ。
- Ollie Judge
顔のない男についての映画。手と足をロープで縛られた不具の男は、白い部屋の中で微動だにしない。妄想に取りつかれた男は、改造された私の自我でもある。自己の内面を表した部屋の中の奇妙な場面の数々。記憶と悪夢と、暴力的イメージを関連づけることを試みた。
- 伊藤高志
SQUID - Crispy Skin
Youtube https://youtu.be/CqM8hhwNsJA/
配信 https://squid.ffm.to/cowards/
スクイッドは大学在学中の2015年にイギリスのブライトンで結成。メンバーはオリー・ジャッジ(ds, vo)、ルイス・ボアレス(g, vo)、アーサー・レッドベター(key,strings,perc)、ローリー・ナンカイヴェル(b, brass)、アントン・ピアソン(g, vo)、便宜的に振り分けられているもののインプロビゼーションを多用したライブの流れにより楽器担当が変化していく、いわばマルチ・インストゥルメンタル集団だ。地元のジャズクラブで初のパフォーマンスを行ったあと、ポストパンク、ジャズなどを融合させた刺激的なサウンドによりライブハウス・シーンで存在感を示すようになる。
2019年6月、ダン・キャリーのプロデュースのもと彼のレーベル〈Speedy Wunderground〉からシングル「Town Centre」をリリース。全英ツアーをソールドアウトさせ、2020年のBBC『Sound of 2020』にノミネートされるなど、ブラック・ミディ、ブラック・カントリー・ニュー・ロードらとともにUK若手シーンを牽引する存在として注目を集める。多くのレーベルからラブコールを受けるなか、〈Warp〉と電撃契約を果たし、2021年5月デビュー・アルバム『Bright Green Field』をリリース。全英アルバムチャートの4位にランクインさせる。2022年のSUMMER SONICにて初来日を果たし、エクスペリメンタルなパフォーマンスで観客の度肝を抜いた。そしてデビュー・アルバムのリリースからわずか2週間後から制作が開始されたというセカンド・アルバム『O Monolith』を2023年6月にリリース。ヨーロッパツアーの後、同年11月には単独来日ツアーを成功させた。その後も2024年には全米ツアーを敢行と、実に精力的な活動を続けている。
2025年1月24日にリリースされるサード・アルバム『Cowards』は2022年の11月から2023年4月までの6ヶ月間で制作された。つまり前作『O Monolith』がリリースされる前に同時進行でソングライティングやレコーディングといった準備が進められていたことになり、その旺盛な創作意欲に驚かずにはいられない。スタジオは前作で用いたウィルトシャーの片田舎にある《リアル・ワールド》に代わり、ポール・エプワースが運営するロンドンの《ザ・チャーチ》を使用し、マーキュリー賞受賞プロデューサーのマルタ・サローニとグレース・バンクスとともに録音されている。こうした環境の変化もこの3枚目のアルバムのムードに影響を与えているようだ。ミックスは前作に続きジョン・マッケンタイアに依頼。これまでもコラボレーションを続けてきたダン・キャリーは、アディショナル・プロダクションというかたちでサポートしている。レコーディングには5人のほか、前作で大きな役割を果たしたパーカッショニスト、ザンズ・ダガンが再び参加。アーサーがチェリストでもあることから、ルイージ・クァルテットによるストリングスが大幅に導入され新たな一面を開拓している。またローザ・ブルック、トニー・ニョク、クラリッサ・コネリーによるコーラスがアルバムのどこか瞑想的なトーン、全体がひとつの組曲のような構成を特徴づけている。
アルバムは、すでにライブで披露されていて、メンバー自ら「カニバリズムについて歌った曲」と紹介している「Crispy Skin」で幕を上げる。アルバム・タイトル曲「Cowards」はヨルゴス・ランティモス監督の『籠の中の乙女』とその影響元であるアルトゥーロ・リプスタインの『純潔の城』からインスパイアされていると明かしているように、バンドはどうやら今作において、極限状態におかれた者の心境、危機的な状況に追い込まれた人間がどんなことを感じるのか、そのことに取り憑かれているようだ。『O Monolith』の壮大な世界とは対象的に、『Cowards』は人間の奥底の狂気と悪意をリリックで捉えようとする。ちなみに、これまでもJG・バラード、マーク・フィッシャー、ナム・ジュン・パイクなど様々な文学やアートのレファレンスを隠してこなかった彼らだが、今作は他にも村上龍の『イン ザ・ミソスープ』、チャールズ・マンソンとヘルター・スケルター、フロイト、そして『ターミネーター2』まで、そのインスピレーション元は実に多岐に渡っている。
エキセントリックなシャウトを多く用いていたジャッジのボーカルや、変拍子によるテクニカルなアンサンブルは後退し、かわりに前面に出てくるのは、優美なストリングスをまとい、中世を舞台にした物語を翻案した「Fieldworks I」「Fieldworks II」で顕著なミニマリズムやバロック的音響だ。もちろん、じわりじわりと高揚していく「Blood on the Boulders」やクラウトロック的グルーヴの「Cro-Magnon Man」など、ステージに横並びで演奏するメンバーの姿が浮かんでくるスリリングな場面も設けられている。アルバムは荘厳なプロダクションがきらめく「Well Met (Fingers Through The Fence)」で締めくくられ、カタストロフィックな詩世界ではあるものの、それとは対照的なある種の楽観性が全体を貫いている。なお、ジャケットにはこれまでカサンドラ・ジェンキンスやアヴァロン・エマーソンなどを撮ったノルウェー出身・NYブルックリン在住の写真家Tonje Thilesenによる作品が使用されている。
スクイッド待望の最新アルバム『Cowards』は、2月7日 (金) にCDとLP、デジタル/ストリーミング配信で世界同時リリース。国内盤CDには、ボーナストラックが追加収録され、歌詞対訳付きの解説書が封入される。LPは通常盤(ブラック・ヴァイナル)に加え、限定盤(クリア・ヴァイナル)と初回生産限定日本語帯付き仕様盤(クリア・ヴァイナル)、そしてボーナストラックが収録された10”付きのデラックス盤 (ブラック・ヴァイナル) が発売される。さらに、国内盤CDと日本語帯付き仕様盤LPは、Tシャツ付きセットも発売決定。