昨年本格的にソロ名義での活動を再開したトム・ミッシュが、今年初の新曲となる「Old Man」を自身のレーベル〈Beyond The Groove〉よりリリースした。

「Old Man」は最初の音からトム・ミッシュのサウンドと視点が変化したことを示し、年齢を重ねることや家族の存在、そして時間の持つ不思議さに触れたとてもパーソナルで温かい楽曲である。一度聴いただけでも、トムの飾り気のない歌声と、アナログでクラシックなサウンドに魅了されてしまうが、この曲の真の魅力はその普遍的な歌詞にある。リスナーはトムの視点に共感することも、自分自身の物語を重ねることもできる。トムの両親の小屋で、シンガーソングライターのマット・マルチーズと一緒に作曲し、その後ナッシュビルへ向かい、イアン・フィチャックと共にレコーディングとプロデュースを行った。

本作の創作プロセスについて、トムは次のようにコメントしている。

最近、クラシックなスタイルでシンプルに仕上げた楽曲を作りたいという思いが強くなってるんだ。「Old Man」はその良い例で、これまで作った中でも特にお気に入りの曲の一つだよ。この曲には、ここ最近自分が経験してきたことがたくさん詰まっているけれど、40年後に演奏しても同じように響く曲だと感じている。

サディク・アブバカルが監督を務めたミュージックビデオでは、父と息子の関係を映し出す様々な場面が描かれ、最後のシーンでは、トムがたった一人の観客、父ピーター・ミッシュの前で演奏する感動的な瞬間が収められている。

Tom Misch - ‘Old Man’ (Official Video)
YouTube https://tommisch.ffm.to/oldman-video/
配信リンク https://tommisch.ffm.to/oldman/

トム・ミッシュのキャリアを通しての総ストリーミング数は15億回におよび、UKでゴールドディスクに認定された『Geography』と、ユセフ・デイズとのコラボレーションで、2020年にアイヴァー・ノヴェロ賞にもノミネートされた『What Kinda Music』はいずれも全英チャートでトップ10入り。また、ミッシュの才能はエリック・クラプトンやジョン・メイヤー、エルトン・ジョンらトップアーティストからも支持を集め、デ・ラ・ソウルやFKJ、ロイル・カーナー、マイケル・キワヌカ、マルコス・ヴァーリらとのコラボレーションも評判を呼び、静かに、しかし急速に、過去10年間で最も勢いのあるUKアーティストの一人となった。

それでも、トムにとっては真に新しい音楽を作ることは大きなチャレンジであり、不安や深い苦悩を乗り越える必要もあったが、その中で美しさを見つけるために懸命に戦い、彼の新しい音楽はその旅路と揺るぎない表現の証となって生み出される。昨年ソロ名義での活動に再開したトムは、シングル「Insecure」や「Cinnamon Curls」を収録したEP作品『Six Songs』を発表。以前はビートやプロダクションからインスピレーションを得ていたが、これらの曲は「Old Man」と同様、トムのギターと歌声を前面に押し出した楽曲となっている。