ロンドンの人気カルト・バンド、ファット・ホワイト・ファミリーが、4月26日に発売される最新作『Forgiveness Is Yours』より新曲「Today You Become Man」を新たに公開した。
この曲は、リード・ヴォーカルのリアス・サウディの兄タムランが、アルジェリアの山中で5歳の時に麻酔なしで割礼を受けたことを歌っている。ビデオはタムランがサウディ家の出身地である小さな町マイヨで撮影した。
Today You Become Man (歌詞対訳)
https://fatwhitefamilymusic.com/today/
君が自分の竿を見下ろす時、僕が見ているものとは違うものを見ているんだ、ブラザー。全然違う。決定的な違いがある。君たちは英国でそれをやったんだ。人道的なやり方でやったんだ。君たちペアは眠っていた。君たちは子供だった。僕は5つだった。5歳だ。そして、僕は目覚めていた。少年よ、僕は起きていたんだ。自分の竿を見下ろすと、そこには切断の跡が見える。純粋な激情が流れる無数の管に分かれた親父の額が見える。あの古いプジョーでマイヨへと向かう中、後部座席で祖父が僕をあやしている。その後ろ辺りでは舞い上がる埃が空気に充ちている。時おり銃声が聞こえる。これは80年代半ばのこと。そう、人々はまだ銃を持っていた。いろいろとトラブルが起こる前、内戦が起こる前は、みんな銃を持っていたんだ。みんなお祝いですぐに撃ち殺していた。もちろん、僕らは本を買いに行っているのではなかった。親父は僕にそう言っていたが。どこに行こうとしているんだ、親父?僕らは本を買いに行くんだ。音が聞こえる。そう思った。だけど、どうして人々が空に向かって銃をぶっ放していたんだ?それに、どうして僕らは車列を組んで走っていたんだ?どうして本を買いに行くのに車列で?知ってのとおり、僕はもう本を読まない。それでも、車列を組んで本を買いに行くやつはいないよ。何かの企みがあることに気づいたのはその時だ。だけど、たったの5歳だ。親父の言葉は全てが法律だ。ともかくも、僕らが街の葬儀所のような場所へと向かっていると、人々が家から出てきて、通りを進む僕らに手を振り、本屋へと向かう僕らの幸運を願っている。僕らはオリーブの林の向こうのあの道へと近づいている。林は左へと少し傾くのを耐えている。それはそこで何十年も耐えてきたんだ。街中の人があの丘のふもとにゴミを捨てている。山積みになった古い冷蔵庫や不用のマットレス。動物の廃棄。なんとおぞましい。いや、美しい場所なんだけど、とてつもなく汚い場所でもあるよね?それになんとも荒れ果てた場所だ。僕がその丘に到着すると、サッカーボールを蹴り回していたベルベル人の少年たちが立ち止まって、指を差して甲高い声で笑い始めた。彼らは僕と同年代だった。おそらく少し上だろう。彼らの丸くて黒くて小さな瞳。その姿が今も目に浮かぶ。僕がバカにされたのを確信したのはその時だ。彼らの小さな顔に浮かぶおぞましい笑み。人というものは、他の奴らが自分と同じ苦しみを味わうのが大好きだろ?僕らは街の真ん中にあるボロボロのアパートの一つに到着した。どんな建物かわかるだろ?古くてボロボロで、でもまだ半分しか出来上がっていないやつだ。アルジェリアには完成したビルがない。全てが最終地点までの道のりの3分の2あたりで終わってしまう。僕らはこの大きな建物に足を踏み入れ、3階か4階と思しき所まで上がった。ショルバ(訳註:アルジェリアや東欧、中東、中央アジアなどで食されているスープあるいはシチュー)が運ばれている。クスクスも。階上に上がる途中で匂ってきた。宴会のようなものが行われているのか?あるいは、ムスリムのクリスマスか何かか?僕はただ座って叔母とお茶か何かを飲むことになるのか?目的地の正面玄関は既に開いている。そこにはおよそ12人の知らない男がいた。彼らは全く正装はしていない。25歳以上のアルジェリア男なら誰もが着そうな、同じベージュ色のシャツとスラックスを纏っている。彼らの一人が僕に向かって軽く会釈し、「OK、OK、ごきげんいかがですか?タムラン・サウージ」と言う。親父はカビル語(訳註:ベルベル系言語の一つ)でいくらか言葉を交わす。あんな簡単に共同作業ができるとは。彼らに共通するのは二人とも山男だということ。全てが純粋な共同作業、あるいは口角泡を飛ばし痙攣するような好戦性か。その中間は無いんだ。彼らが二、三言葉を交わすと、僕は部屋の真ん中にあるテーブルへと案内される。その場には女性はいない。僕の周りは男ばかりだが、親父は「大丈夫だ」と安心させようとしている。彼は微笑みを浮かべながら「大丈夫だ」「大丈夫だ」と繰り返した。今日、お前は男になるのだ。ごく一般的なリビングルームにごく一般的なテーブル、それらはカビルの基準でも極めて普通のものだ。あの国では品のいい家具なんてものは誰も持っていない。そして、親父は僕が服を脱ぐのに手を貸す。「大丈夫だ、息子よ。勇気を出して、ようやくお前は男になるのだ。」そして、僕はテーブルの上に乗り、肩にかかった手が僕を仰向けに寝かせる。「リラックスするんだ、息子よ、リラックス、大丈夫だ。すぐに終わる。とにかくリラックス。さあ、これを口に咥えて」と彼が言い、僕に木の筒を渡す。「これを噛み締めるんだ、いいか、痛みを感じたら、これを噛み締めるんだ。そうすれば楽になる。今日お前は男になる。今日お前は男になるんだ…」
初期メンバー脱退を経て完成させた『Forgiveness Is Yours』は、この世界に大惨事が起こり続けても、創作への強い意志を証明するものだ。本作に収められた11曲は、乱れた社会情勢をそのまま描く屈辱的なレポートであると同時に、喜んでその乱れた時代に進んでいるかのような人間の愚かな様をまざまざと見せつけてくる。幻想から解き放たれ、綺麗な焼け跡から生まれたそのサウンドは、幻滅の真髄を極めた、凶悪で不吉な時代のほろ苦い果実である。
活動初期から、ファット・ホワイト・ファミリーは、ロックンロールにおいて長い間軽視されてきた神話の力、人々に何か信じるものを与えること (あるいは何も与えないこと) の必要性を本能的に理解していた。無機質で無難なポップ・キャリア主義者のモノカルチャーの中で、ファット・ホワイト・ファミリーは聖なる炎を秘めている。聴く者たちを鼓舞する特別な力を持ったバンドである彼らは、その精神において激しくパンクだ。
ファット・ホワイト・ファミリーの最新作『Forgiveness Is Yours』は、CD、LP、デジタル/ストリーミング配信で4月26日に世界同時リリース!国内盤CDには、歌詞対訳付きの解説書が封入され、ボーナストラック「Yorkshire」が追加収録される。LPは通常盤(ブラック・ヴァイナル)に加え、限定盤(クリア・ヴァイナル)の2形態で発売される。
この曲は、リード・ヴォーカルのリアス・サウディの兄タムランが、アルジェリアの山中で5歳の時に麻酔なしで割礼を受けたことを歌っている。ビデオはタムランがサウディ家の出身地である小さな町マイヨで撮影した。
Today You Become Man (歌詞対訳)
https://fatwhitefamilymusic.com/today/
君が自分の竿を見下ろす時、僕が見ているものとは違うものを見ているんだ、ブラザー。全然違う。決定的な違いがある。君たちは英国でそれをやったんだ。人道的なやり方でやったんだ。君たちペアは眠っていた。君たちは子供だった。僕は5つだった。5歳だ。そして、僕は目覚めていた。少年よ、僕は起きていたんだ。自分の竿を見下ろすと、そこには切断の跡が見える。純粋な激情が流れる無数の管に分かれた親父の額が見える。あの古いプジョーでマイヨへと向かう中、後部座席で祖父が僕をあやしている。その後ろ辺りでは舞い上がる埃が空気に充ちている。時おり銃声が聞こえる。これは80年代半ばのこと。そう、人々はまだ銃を持っていた。いろいろとトラブルが起こる前、内戦が起こる前は、みんな銃を持っていたんだ。みんなお祝いですぐに撃ち殺していた。もちろん、僕らは本を買いに行っているのではなかった。親父は僕にそう言っていたが。どこに行こうとしているんだ、親父?僕らは本を買いに行くんだ。音が聞こえる。そう思った。だけど、どうして人々が空に向かって銃をぶっ放していたんだ?それに、どうして僕らは車列を組んで走っていたんだ?どうして本を買いに行くのに車列で?知ってのとおり、僕はもう本を読まない。それでも、車列を組んで本を買いに行くやつはいないよ。何かの企みがあることに気づいたのはその時だ。だけど、たったの5歳だ。親父の言葉は全てが法律だ。ともかくも、僕らが街の葬儀所のような場所へと向かっていると、人々が家から出てきて、通りを進む僕らに手を振り、本屋へと向かう僕らの幸運を願っている。僕らはオリーブの林の向こうのあの道へと近づいている。林は左へと少し傾くのを耐えている。それはそこで何十年も耐えてきたんだ。街中の人があの丘のふもとにゴミを捨てている。山積みになった古い冷蔵庫や不用のマットレス。動物の廃棄。なんとおぞましい。いや、美しい場所なんだけど、とてつもなく汚い場所でもあるよね?それになんとも荒れ果てた場所だ。僕がその丘に到着すると、サッカーボールを蹴り回していたベルベル人の少年たちが立ち止まって、指を差して甲高い声で笑い始めた。彼らは僕と同年代だった。おそらく少し上だろう。彼らの丸くて黒くて小さな瞳。その姿が今も目に浮かぶ。僕がバカにされたのを確信したのはその時だ。彼らの小さな顔に浮かぶおぞましい笑み。人というものは、他の奴らが自分と同じ苦しみを味わうのが大好きだろ?僕らは街の真ん中にあるボロボロのアパートの一つに到着した。どんな建物かわかるだろ?古くてボロボロで、でもまだ半分しか出来上がっていないやつだ。アルジェリアには完成したビルがない。全てが最終地点までの道のりの3分の2あたりで終わってしまう。僕らはこの大きな建物に足を踏み入れ、3階か4階と思しき所まで上がった。ショルバ(訳註:アルジェリアや東欧、中東、中央アジアなどで食されているスープあるいはシチュー)が運ばれている。クスクスも。階上に上がる途中で匂ってきた。宴会のようなものが行われているのか?あるいは、ムスリムのクリスマスか何かか?僕はただ座って叔母とお茶か何かを飲むことになるのか?目的地の正面玄関は既に開いている。そこにはおよそ12人の知らない男がいた。彼らは全く正装はしていない。25歳以上のアルジェリア男なら誰もが着そうな、同じベージュ色のシャツとスラックスを纏っている。彼らの一人が僕に向かって軽く会釈し、「OK、OK、ごきげんいかがですか?タムラン・サウージ」と言う。親父はカビル語(訳註:ベルベル系言語の一つ)でいくらか言葉を交わす。あんな簡単に共同作業ができるとは。彼らに共通するのは二人とも山男だということ。全てが純粋な共同作業、あるいは口角泡を飛ばし痙攣するような好戦性か。その中間は無いんだ。彼らが二、三言葉を交わすと、僕は部屋の真ん中にあるテーブルへと案内される。その場には女性はいない。僕の周りは男ばかりだが、親父は「大丈夫だ」と安心させようとしている。彼は微笑みを浮かべながら「大丈夫だ」「大丈夫だ」と繰り返した。今日、お前は男になるのだ。ごく一般的なリビングルームにごく一般的なテーブル、それらはカビルの基準でも極めて普通のものだ。あの国では品のいい家具なんてものは誰も持っていない。そして、親父は僕が服を脱ぐのに手を貸す。「大丈夫だ、息子よ。勇気を出して、ようやくお前は男になるのだ。」そして、僕はテーブルの上に乗り、肩にかかった手が僕を仰向けに寝かせる。「リラックスするんだ、息子よ、リラックス、大丈夫だ。すぐに終わる。とにかくリラックス。さあ、これを口に咥えて」と彼が言い、僕に木の筒を渡す。「これを噛み締めるんだ、いいか、痛みを感じたら、これを噛み締めるんだ。そうすれば楽になる。今日お前は男になる。今日お前は男になるんだ…」
初期メンバー脱退を経て完成させた『Forgiveness Is Yours』は、この世界に大惨事が起こり続けても、創作への強い意志を証明するものだ。本作に収められた11曲は、乱れた社会情勢をそのまま描く屈辱的なレポートであると同時に、喜んでその乱れた時代に進んでいるかのような人間の愚かな様をまざまざと見せつけてくる。幻想から解き放たれ、綺麗な焼け跡から生まれたそのサウンドは、幻滅の真髄を極めた、凶悪で不吉な時代のほろ苦い果実である。
活動初期から、ファット・ホワイト・ファミリーは、ロックンロールにおいて長い間軽視されてきた神話の力、人々に何か信じるものを与えること (あるいは何も与えないこと) の必要性を本能的に理解していた。無機質で無難なポップ・キャリア主義者のモノカルチャーの中で、ファット・ホワイト・ファミリーは聖なる炎を秘めている。聴く者たちを鼓舞する特別な力を持ったバンドである彼らは、その精神において激しくパンクだ。
ファット・ホワイト・ファミリーの最新作『Forgiveness Is Yours』は、CD、LP、デジタル/ストリーミング配信で4月26日に世界同時リリース!国内盤CDには、歌詞対訳付きの解説書が封入され、ボーナストラック「Yorkshire」が追加収録される。LPは通常盤(ブラック・ヴァイナル)に加え、限定盤(クリア・ヴァイナル)の2形態で発売される。