Photo Credit: Kazma Kobayashi
Overmono @ FUJI ROCK FESTIVAL '23 7/28 (FRI)
2023年のフジロック初日、深夜のRed Marqueeは異様な興奮に包まれていた。いまUKで最もエキサイティングなデュオ、Overmonoが、ライブアクトでも天下一品であることを証明してみせたからだ。〈XL Recordings〉からリリースされたファースト・アルバムにして名盤『Good Lies』を引っ提げての苗場登場、ダンス・ミュージック・フリークの愛聴盤、という次元を越えて注目されていることは、Red Marqueeに詰めかけたオーディエンスの数と熱気でも明らかだ。
『Good Lies』は、とにかくふたりのトレードマークであるスタイル、あえてヴォーカリストを起用せず、ふたりがディグしたヴォーカルのサンプリングをいかにフレッシュに聴かせるかという命題に、練り上げてきたテクノ、ブレイクビーツ、UKガラージなど様々なプロダクションを用いて徹底的にこだわったアルバムと言えるだろう。この夜のセットはその手法をもとに、カタルシスに上り詰めるまでのプロセスが、アルバムの尺から75分に鮮やかに引き伸ばされていた。
ノンストップのエナジーのトリガーとなったのはアルバムのオープニング曲「Feelings Plain」で用いられていたMiraa May「In My Feelings」のヴォーカル・サンプリング。エフェクトとチョップが施され、原曲から想像できない恍惚としたループが、まるで宗教音楽のようにフロアに鳴り響くと、たまりかねたようにオーディエンスの叫び声が湧き上がる。
アルバム収録曲やこれまでリリースしてきたシングルといったバンガーに加え、The Streets「Turn The Page」そしてFor Those I Love「I Have A Love」といった、他アーティストに提供したドラマティックなリミックス・バージョンを加えることで、セットリスト全体のエモーショナル度を増幅させているのがさすが。
ステージ上のスクリーンには、音源のアートワークと同じソリッドなイメージのふたりを戯画化したようなドーベルマンの姿、そしてヴィンテージな車のイメージ。自分たちの楽曲が完成すると望むヴァイヴになっているか車の中でテストすると明言している彼ららしい映像だ。ハードなテクノを出自に持つトム、そしてレイブ経由のベースワークを得意とするエド、ブース内でクールに機材を操るふたりのバランスも秀逸で、この夜は会場のボルテージに反応するように、エドが着ていたジャケットを脱ぎ頭上で振り回しアピールする。
さらなるクライマックスは後半に訪れた。「Bby」から「So U Kno」「Is U」のスケールの大きな流れにフロアは狂乱状態。「Is U」で用いられたTirzahのサンプリングが次第に消え去ってくと、ふたりがDJブースの前に出てきてクラウドに感謝を伝えステージを去ったあとも、「すげぇかっこよかった!」と周囲のオーディエンスの興奮は冷めやらぬ様子。エンターテインメントとしての盛り上げ方と、ストイックなリズムの追求に、フェスティバルのヘッドライナーを飾るのも時間の問題だろう、と感嘆しきりの夜だった。
Text by 駒井憲嗣
フジロック会場で完売となったOvermonoの限定Tシャツは、現在BEATINK.COMにて受注予約受付中!予約受付は8月6日まで!
Overmono - Fujirock 2023 T-Shirt [受注生産商品 / 8月下旬以降お届け]
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=13513
Overmono @ FUJI ROCK FESTIVAL '23 7/28 (FRI)
2023年のフジロック初日、深夜のRed Marqueeは異様な興奮に包まれていた。いまUKで最もエキサイティングなデュオ、Overmonoが、ライブアクトでも天下一品であることを証明してみせたからだ。〈XL Recordings〉からリリースされたファースト・アルバムにして名盤『Good Lies』を引っ提げての苗場登場、ダンス・ミュージック・フリークの愛聴盤、という次元を越えて注目されていることは、Red Marqueeに詰めかけたオーディエンスの数と熱気でも明らかだ。
『Good Lies』は、とにかくふたりのトレードマークであるスタイル、あえてヴォーカリストを起用せず、ふたりがディグしたヴォーカルのサンプリングをいかにフレッシュに聴かせるかという命題に、練り上げてきたテクノ、ブレイクビーツ、UKガラージなど様々なプロダクションを用いて徹底的にこだわったアルバムと言えるだろう。この夜のセットはその手法をもとに、カタルシスに上り詰めるまでのプロセスが、アルバムの尺から75分に鮮やかに引き伸ばされていた。
ノンストップのエナジーのトリガーとなったのはアルバムのオープニング曲「Feelings Plain」で用いられていたMiraa May「In My Feelings」のヴォーカル・サンプリング。エフェクトとチョップが施され、原曲から想像できない恍惚としたループが、まるで宗教音楽のようにフロアに鳴り響くと、たまりかねたようにオーディエンスの叫び声が湧き上がる。
アルバム収録曲やこれまでリリースしてきたシングルといったバンガーに加え、The Streets「Turn The Page」そしてFor Those I Love「I Have A Love」といった、他アーティストに提供したドラマティックなリミックス・バージョンを加えることで、セットリスト全体のエモーショナル度を増幅させているのがさすが。
ステージ上のスクリーンには、音源のアートワークと同じソリッドなイメージのふたりを戯画化したようなドーベルマンの姿、そしてヴィンテージな車のイメージ。自分たちの楽曲が完成すると望むヴァイヴになっているか車の中でテストすると明言している彼ららしい映像だ。ハードなテクノを出自に持つトム、そしてレイブ経由のベースワークを得意とするエド、ブース内でクールに機材を操るふたりのバランスも秀逸で、この夜は会場のボルテージに反応するように、エドが着ていたジャケットを脱ぎ頭上で振り回しアピールする。
さらなるクライマックスは後半に訪れた。「Bby」から「So U Kno」「Is U」のスケールの大きな流れにフロアは狂乱状態。「Is U」で用いられたTirzahのサンプリングが次第に消え去ってくと、ふたりがDJブースの前に出てきてクラウドに感謝を伝えステージを去ったあとも、「すげぇかっこよかった!」と周囲のオーディエンスの興奮は冷めやらぬ様子。エンターテインメントとしての盛り上げ方と、ストイックなリズムの追求に、フェスティバルのヘッドライナーを飾るのも時間の問題だろう、と感嘆しきりの夜だった。
Text by 駒井憲嗣
フジロック会場で完売となったOvermonoの限定Tシャツは、現在BEATINK.COMにて受注予約受付中!予約受付は8月6日まで!
Overmono - Fujirock 2023 T-Shirt [受注生産商品 / 8月下旬以降お届け]
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