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ADRIAN SHERWOOD presents DUB SESSIONS 2023 / ダブってこういうことか!!!思わずそう叫んでしまいそうな、そんな一夜だった。Dub Sessions 2023のイベントレポートが公開!

2023.09.19

ADRIAN SHERWOOD presents DUB SESSIONS 2023 / ダブってこういうことか!!!思わずそう叫んでしまいそうな、そんな一夜だった。Dub Sessions 2023のイベントレポートが公開!

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ADRIAN SHERWOOD presents DUB SESSIONS 2023 / ダブってこういうことか!!!思わずそう叫んでしまいそうな、そんな一夜だった。Dub Sessions 2023のイベントレポートが公開!

Dub Sessions 2023 2023/8/18 @liquidroom
ダブってこういうことか!!!思わずそう叫んでしまいそうな、そんな一夜だった。

 UKダブ・サウンドの牙城として約40年に渡りシーンに君臨し続けるインディレーベル、〈ON-U SOUND〉の設立者、エイドリアン・シャーウッド。そんな彼を首謀者とする『DUB SESSIONS 2023』の東京公演が9月14日に恵比寿リキッドルームにて開催された。「DUB SESSIONS」はかつてリー・“スクラッチ”・ペリーやザ・スリッツなども参加した歴史あるイベントである。今回は実に12年ぶりの来日となる熟練パーカッショニスト、ボンジョ・アイヤビンギ・ノア率いるアフリカン・ヘッド・チャージ(以下、AHC)が出演。同じく12年ぶりとなったAHCの新作アルバム『A Trip To Bolgatanga』は、ガーナ北東部の州都“ボルガタンガ”での、ボンジョと現地ミュージシャンによるレコーディング音源が元となっている。それらを共同でアルバムとして仕上げたのが40年来の盟友であるシャーウッドなのだ。今回のAHC来日公演ではもちろんシャーウッドがAHCのライブ・ダブ・ミックスを担当。一方、日本からは現在は東京を拠点とするGezanが出演した。そしてGezan側のPAミキサーとしてダブ・ミックスを施すのは、AHCの初来日時にも共演した内田直之だ。Little Tempo、OKI DUB AINU BANDやDRY&HEAVYといったダブバンドで活躍してきた、日本が誇るダブエンジニアである。

 木曜日の夕方、開演前のリキッドルーム2階はダブに飢えたオーディエンスでごった返す。そこで渦巻く熱気は、早々にソールドアウトした今回のチケットを手に入れた人々によるものだ。オープニングを務めたのは東京のアンダーグラウンドなクラブシーンで一際異彩を放つ音楽家、Mars89である。〈ON-U SOUND〉をはじめとするUKベースミュージックからの影響を公言する彼は、アンビエントからジャングルに至るまでの幅広いサウンドをインダストリアルな音響で統一したような知的で美しいセットを披露し、開場から1時間じっくりかけてフロアは満杯になった。

 Mars89の後にほんの数分間おいてステージに出現したのはスポットライトに照らされたマヒトゥ・ザ・ピーポー。真っ赤な衣装と照明に身を包んだGezanの出番が始まる。今回のような「DUB」を冠したイベントでどのような表現をGezanが観せてくれるのか、期待に胸を躍らせていたのは筆者だけではあるまい。というのも、彼らが2020年に発表したアルバム『狂(KLUE)』は、全編BPM100で統一したトライバルなビートに強烈なダブミックスを施した作品で、最新作『あのち』には「TOKYO DUB STORY」という曲まで収録しているからだ。しかし、Gezanのステージはその期待をはるかに上回る圧巻のパフォーマンスだった。まず、本作冒頭の「狂」と「EXTACY」を続けて披露。この時点で内田直之によるライブ・ダブ・ミックスによってその演奏表現の全てが増幅され、尋常ではなく赤い照明も相まって異様な空間を演出していた。4人がフラフラと歩き回りながらアカペラで歌われた「萃点」や未発表曲(新曲?)の「UFO」のスカアレンジ、ノイズまみれの「NO GOD」など、曲ごとにバンドは大きく表情を変えるが、その根底にはシャーウッドと〈ON-U〉へのリスペクトを強く感じた。また、レゲエ版「東京」も忘れ難い。Gezanは徹頭徹尾ライブバンドとしての力量を示したのだ。

 Gezanがステージから去ると、突如としてAHCの最新作『A Trip To Bolgatanga』の1曲目「A Bad Attitude」におけるキング・アイソバのご機嫌な叫び声が鳴り響く。UKダブ界の総帥エイドリアン・シャーウッドによる「DUB PSYCHEDELIA SET」の始まりである。「スーダラ節」をレゲエに乗せるという茶目っ気もあったが、終始繰り広げられる雷鳴のような低音はとにかく容赦がない。耳がはち切れそうなほど低音を強調したホレス・アンディやマックス・ロメオの音源を無防備に浴びせられるのは、まさにダブの洗礼を受けているような心持ちだった。

 開場から数えて3時間近く経過したタイミングで、ついにこの日の主役AHCが登場。複雑なリズムを乗りこなす鍛え上げられたバンドの演奏に、シャーウッドがこれまた強烈なダブミックスを加え続ける豪勢な1時間半であった。ステージ上にはギター、キーボード、ドラム、コンガなどの楽器が並び、それらがボンジョを含めた6人の演奏者によって絶え間なく鳴らされる。シャーウッドによってそれらはとにかく片っ端からダブワイズしているようにも聴こえるが、その音像は嵐のような残響音の中でも、ひとつひとつの楽器が聞き分けられるほどクリアで驚く。そこには40年以上UKダブのサウンドをあらゆる地平で更新し続けていく中で培ってきた、シャーウッドによる緻密な技術と、AHCとの信頼関係により成立しているのだろうと思わせる迫力があった。ボンジョは曲が終わるたびに最低2回は「ヤーマーーン!!!」と叫んでいた。それに応えるオーディエンスの「ヤマーン!!」の声が終盤にいくにつれてどんどん大きくなっていくように、その呪術的なグルーヴもヒートアップ。最後の最後まで加速し続け、アンコールで熱が頂点に達したパフォーマンスだった。付け加えると、ステージ中央で最初から最後までただただその場で小さく揺れるだけの謎の長老も強く印象に残っている。

 ジャマイカからロンドンを経由しガーナに辿り着いたダブと、それに影響を受けてきた東京のダブが激しくぶつかり合った一夜。これは今日まで発展を続けてきた豊かな歴史の一部なのだと感じた。ボンジョが繰り返した「I Love Japan」という言葉にもその歴史の断片が含まれている。レゲエ/ダブに端を発するシャーウッドのキャリアは、ダンスやポストパンク、インダストリアル等にまで膨大な作品に関わることで拡張してきた。あらゆる世代がそれぞれのタイミングでその40年を超えるキャリアに触れ、シャーウッドにアクセスしたのだろう。もちろんこのイベントがきっかけでダブに開眼した筆者のようなリスナーも幾人かいるに違いない。マヒト曰く、シャーウッドは「ずっとパンクな青春野郎」で、オーディエンスについては「平日から集まったいかれた奴らが希望」だという。すっかり脚が棒になった4時間半、積み上げられてきた歴史を感じながら、ここから始まる歴史もあるのだと思った。

text by もこみ

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