HIATUS KAIYOTE @ GREEN STAGE 7/29(FRI)
朝から雨もほとんど降らなかったフジロック初日の金曜の夜7時、暑さも和らぎ始めた苗場グリーン・ステージ。登場したのは、南半球オーストラリア・メルボルンで結成されたハイエイタス・カイヨーテ。2019年に続き2度目のフジロック、グリーン・ステージ。フライング・ロータスが主宰するインディー・レーベル〈Brainfeeder〉に移籍して初の出演でもある。
ネオ・ソウル・バンドとでも例えるのがわかりやすいだろうか?ボーカル・ギターのネイ・パームを中心に構成された4人組バンド。ステージでは3人のコーラスが加わる。ヘビメタ出身のポールが演奏するのは、おなじみの青い六弦ベース、クラシック出身のサイモンのシンセサイザー、ヒップホップ出身のペリンのドラムス、それぞれがひじょうに個性的でケンカしそうだが、不思議なバランスを保つ。マーベル・コミックの映画でいうと、『ガーディンズ・オブ・ギャラクシー』のようなグループなのだ。
日本のカルチャーも大好きなネイの「コンニチハ フジロック」で始まったステージ。♪Rose Waterでは不協和音のような演奏、ネイのジャジーな歌声が早くも苗場の自然とマッチする。つづいて「And We Go Gentle」 昨年6年ぶりにリリースしたアルバム『Mood Valiant』からの曲が続く。
触れないわけにはいかないのが、ネイ・パームのファッション。この日は、黄緑に染めた髪に青いスパンコールのセクシーなドレス。海の中から現れた魔女のようだ。胸にはビリヤードの8ボール。ビリヤードでは、相手を不利にもできたり、逆転勝利することもできる特別な数字の玉である。ネイの胸元にある数字からは逆境を乗り越えようという意味を想像できる。
ここからネイ愛用、マイケル・ジャクソンのステッカーもおなじみのVシェイプのギターが登場。「All The Words We Don’t Say」最初はどう乗っていいのかとまどっていたオーディンスも徐々に体を揺らし始めている。彼らの音楽は最初は違和感を覚えるが、聴いているうちに自然に引き込まれて、いつの間にか心地いいビートに身を委ねている。それがハエイタス・カイヨーテの魅力なのだ。
わざわざブラジルで仕上げたこだわりの1曲「Get Sun」は、60年代から活躍しているブラジルの伝説的プロデューサーでアレンジャーのアルトゥール・ヴェロカイが参加。アルトゥールは、エリス・レジーナやガル・コスタなどブラジル音楽史に残るアーティストたちと仕事をしてきた匠。ブラジルの明るく強い生命力あふれた強いビートと融合した演奏は夏にピッタリ。
彼らは、映画やアニメをはじめ様々なジャンルから受けた影響を、予想もつかない世界に変換してくる。ここでネイが大好きで大きな影響を受けたデヴィッド・ボウイのカバー「Within You」。映画『ラビリンス/魔王の迷宮』エッシャーのだまし絵のような世界で、ボウイ演じる魔王がこの曲を歌う。ステージの耳のとんがったネイの妖艶な出で立ちが、ボウイの魔王の姿とリンクした。
ズレズレのリズムがいくつも重なっていく不思議なファンク「Swamp Thing」、苦しみもいつかは終わる、希望を歌った曲「Building A Ladder」、ソウル色の濃グラミー賞ベストR&Bパフォーマンス部門にノミネートされた名曲「Nakamarra 」、ネイのパワフルでソウルフルな歌声が響き渡る。2018年、ネイ・パームの大病が発覚。生というものを強く意識し、自分が何者なのかと考えるようになったというネイ。
最後は「Red Room」でフジロックを赤く染め、「アリガトウゴザイマス サヨウナラ」、ネイの笑顔で80分のステージは終了した。PAの音が止み聞こえてきたのは、後ろにいた女性の言葉「すごいファンになっちゃった」 そう、これがハイエイタス・カイヨーテなのだ。
ネイは翌日、直前キャンセルとなったアーティストのピンチヒッターとして、フィールド・オブ・ヘブンに再登場。愛用のエレキギター1本に3人のコーラスをバックに、シンプルな構成でソウルフルな歌声で魅了した。
喜久知重比呂
朝から雨もほとんど降らなかったフジロック初日の金曜の夜7時、暑さも和らぎ始めた苗場グリーン・ステージ。登場したのは、南半球オーストラリア・メルボルンで結成されたハイエイタス・カイヨーテ。2019年に続き2度目のフジロック、グリーン・ステージ。フライング・ロータスが主宰するインディー・レーベル〈Brainfeeder〉に移籍して初の出演でもある。
ネオ・ソウル・バンドとでも例えるのがわかりやすいだろうか?ボーカル・ギターのネイ・パームを中心に構成された4人組バンド。ステージでは3人のコーラスが加わる。ヘビメタ出身のポールが演奏するのは、おなじみの青い六弦ベース、クラシック出身のサイモンのシンセサイザー、ヒップホップ出身のペリンのドラムス、それぞれがひじょうに個性的でケンカしそうだが、不思議なバランスを保つ。マーベル・コミックの映画でいうと、『ガーディンズ・オブ・ギャラクシー』のようなグループなのだ。
日本のカルチャーも大好きなネイの「コンニチハ フジロック」で始まったステージ。♪Rose Waterでは不協和音のような演奏、ネイのジャジーな歌声が早くも苗場の自然とマッチする。つづいて「And We Go Gentle」 昨年6年ぶりにリリースしたアルバム『Mood Valiant』からの曲が続く。
触れないわけにはいかないのが、ネイ・パームのファッション。この日は、黄緑に染めた髪に青いスパンコールのセクシーなドレス。海の中から現れた魔女のようだ。胸にはビリヤードの8ボール。ビリヤードでは、相手を不利にもできたり、逆転勝利することもできる特別な数字の玉である。ネイの胸元にある数字からは逆境を乗り越えようという意味を想像できる。
ここからネイ愛用、マイケル・ジャクソンのステッカーもおなじみのVシェイプのギターが登場。「All The Words We Don’t Say」最初はどう乗っていいのかとまどっていたオーディンスも徐々に体を揺らし始めている。彼らの音楽は最初は違和感を覚えるが、聴いているうちに自然に引き込まれて、いつの間にか心地いいビートに身を委ねている。それがハエイタス・カイヨーテの魅力なのだ。
わざわざブラジルで仕上げたこだわりの1曲「Get Sun」は、60年代から活躍しているブラジルの伝説的プロデューサーでアレンジャーのアルトゥール・ヴェロカイが参加。アルトゥールは、エリス・レジーナやガル・コスタなどブラジル音楽史に残るアーティストたちと仕事をしてきた匠。ブラジルの明るく強い生命力あふれた強いビートと融合した演奏は夏にピッタリ。
彼らは、映画やアニメをはじめ様々なジャンルから受けた影響を、予想もつかない世界に変換してくる。ここでネイが大好きで大きな影響を受けたデヴィッド・ボウイのカバー「Within You」。映画『ラビリンス/魔王の迷宮』エッシャーのだまし絵のような世界で、ボウイ演じる魔王がこの曲を歌う。ステージの耳のとんがったネイの妖艶な出で立ちが、ボウイの魔王の姿とリンクした。
ズレズレのリズムがいくつも重なっていく不思議なファンク「Swamp Thing」、苦しみもいつかは終わる、希望を歌った曲「Building A Ladder」、ソウル色の濃グラミー賞ベストR&Bパフォーマンス部門にノミネートされた名曲「Nakamarra 」、ネイのパワフルでソウルフルな歌声が響き渡る。2018年、ネイ・パームの大病が発覚。生というものを強く意識し、自分が何者なのかと考えるようになったというネイ。
最後は「Red Room」でフジロックを赤く染め、「アリガトウゴザイマス サヨウナラ」、ネイの笑顔で80分のステージは終了した。PAの音が止み聞こえてきたのは、後ろにいた女性の言葉「すごいファンになっちゃった」 そう、これがハイエイタス・カイヨーテなのだ。
ネイは翌日、直前キャンセルとなったアーティストのピンチヒッターとして、フィールド・オブ・ヘブンに再登場。愛用のエレキギター1本に3人のコーラスをバックに、シンプルな構成でソウルフルな歌声で魅了した。
喜久知重比呂