Mixing Colours
Brian Eno / Roger Eno
RELEASE: 2020.04.08
詩情あふれるサウンドスケープ
ロジャー&ブライアンのイーノ兄弟、初のデュオ・アルバム。
ロジャーとブライアンのイーノ兄弟は、初のデュオ・アルバム『ミキシング・カラーズ』でサウンドの方向性を追求した。アルバムに収められた19曲のサウンドスケープは、聴き手を曲の奥底に漂う永遠の空間へといざなう。
『ミキシング・カラーズ』の内容は何年もかけて磨きあげられたもので、作曲家、プレイヤー、プロデューサーとしての長年にわたる2人の経験が活かされている。アルバム作りは、ロジャーが1曲ずつMIDIキーボードを使って録音し、そのMIDIファイルを兄に送り、兄は曲の内容に手を加えたり処理したりして、1曲ごとに独自のサウンド世界を作り上げていった。この共同作業の結果、最終的にはきわめて自然なダイナミズムが生みだされた。
『ミキシング・カラーズ』には、2005年頃に書かれ、アルバムに組み込まれることは想定されていなかった初期の曲も収められている。「ぼくらは当時、こういう結果になることは想定していなかった――これは15年以上にわたる、ぼくらの会話のやりとりのようなものだね」とロジャーは語る。
『ミキシング・カラーズ』は、音楽の過去と未来のあいだに橋をかけている。ロジャーの曲にはシューベルト後期の憧れにみちたメロディがあり、ブライアンのサウンドデザインには革新的なエレクトロニック・ミュージックを使ったコンセプチュアル・アートが取り入れられており、新しいメディアがもつ創造的可能性を追求し続ける彼の変わらぬ姿勢が反映されている。この半世紀のあいだ、ポップス界はエレクトロニック・ミュージックがもつ巨大な可能性を追求し続け、かつては想像できなかったサウンドの色彩やインストゥルメンタルの響きを作りあげてきた。
収録された19曲には、1曲をのぞいてすべて色と関連したタイトルがついている。これらは抽象画で使われる色彩と共通するところがある。そしてすべての曲が一体となり、音色や音のコントラストに対する深い瞑想が生みだされている。ロジャーは、「この作品は、ぼくらが共有するアート、音楽、文学への興味から出発し、まさにコラボレーションそのものとして実ったものだ」とつけ加えた。「このアルバムを聴けば聴くほど、とりわけブライアンが作り出したすばらしい世界に触れれば触れるほど、聴き手は巨大な風景の中に入り込み、その中で無限の時間を過ごせるようになる」