いやー、すごかった。というか、これは正直かなり予想外でした。実際にライヴを観なきゃわからないことって多々あるけど、それにしても、まさかあんなにエネルギッシュな人だったとは。ガス・ダパートンの初来日公演は、ファンがその楽曲とヴィジュアルから抱いていたイメージをガラリと塗り替える、まさに衝撃的な一夜となった。
ライヴはデビュー・アルバム『Where Polly People Go to Read』の1曲目「Verdigris」で開幕。3人のバンド・メンバーが同曲のパーカッシヴなイントロを奏でるなか、満を持してダバートンがステージに現れると、早速オーディエンスからは黄色い歓声が上がる。この日のダバートンの装いは、黒いタンクトップとオーヴァーサイズの白シャツに、これまたブラックのワイドパンツ。そして、丁寧に刈り込まれた赤髪のマッシュルーム・カット。さすがファッション界隈も注目するニューヨークの新鋭、その出で立ちは抜群にスタイリッシュだ。
ところがそのクールな印象もつかの間。この日のダパートンはとにかくパワフルだった。ステージ上をところ狭しと駆け回ったかと思えば、次の瞬間にはピョンピョン飛び跳ねながらギターを掻き鳴らし、時に缶ビールを煽ってはオーディエンスに話しかけ、声を枯らすようにシャウトするダパートン。え、ガス・ダパートンってこんなに熱いヤツだったの!?ベットルーム・ポップ的な音源のイメージとは裏腹の激しいパフォーマンスにオーディエンスは驚き、気づけばその気さくなキャラクターに引き込まれてゆく。
強烈だったのはダパートンだけでなく、3人のバンド・メンバーにも言えることだ。特にキーボード担当の女性。なんとダパートンの実妹だという彼女は、その巧みな演奏とコーラスもさることながら、あわよくば兄よりも目立とうというようなオーヴァー・アクションぶりが最高にキュート。幼なじみだというベーシストとドラマーの立ち振る舞いもじつにアグレッシヴで、総じて彼らはサポート・メンバーというより、むしろダパートンを中心とした一枚岩のロック・バンドといいたくなる感じだった。
いよいよライヴ終盤に差し掛かると、「My Favorite Fish」「Gum, Toe and Sule」といった一連の人気曲を畳み掛けるように披露。ダパートンの熱演ぶりにオーディエンスもシンガロングで応え、「World Class Cinema」の大合唱で、この日の本編はついに閉幕。しかし、ここからがまた凄かった。
アンコールの声に応えて再びステージに登場した4人が演奏し始めたのは、なんとビートルズの名演で知られる「Twist and Shout」のカヴァー。その荒々しい演奏でオーディエンスにまたしても火がつき、フロア前方はもうグチャグチャだ。それこそジョン・レノンさながらの激しいシャウトを繰り返すダパートン。その姿はまさにロック・スターだった。
客電がつくと、フロアは汗だくのオーディエンスで溢れていた。ダパートンがこんなにロックンロールなやつだったとは、いったい誰が予想できただろう。いずれにしても、僕はこの日のライヴを目撃したことで、ガス・ダパートンのことがもっともっと好きになった。というか、きっと会場に駆けつけた人はみんなそうだったんじゃないかな。だって、あんなにハッピーなヴァイブスを全身で撒き散らされたら、そりゃ好きにならずにはいられないよ。
Text by 渡辺裕也
ライヴはデビュー・アルバム『Where Polly People Go to Read』の1曲目「Verdigris」で開幕。3人のバンド・メンバーが同曲のパーカッシヴなイントロを奏でるなか、満を持してダバートンがステージに現れると、早速オーディエンスからは黄色い歓声が上がる。この日のダバートンの装いは、黒いタンクトップとオーヴァーサイズの白シャツに、これまたブラックのワイドパンツ。そして、丁寧に刈り込まれた赤髪のマッシュルーム・カット。さすがファッション界隈も注目するニューヨークの新鋭、その出で立ちは抜群にスタイリッシュだ。
ところがそのクールな印象もつかの間。この日のダパートンはとにかくパワフルだった。ステージ上をところ狭しと駆け回ったかと思えば、次の瞬間にはピョンピョン飛び跳ねながらギターを掻き鳴らし、時に缶ビールを煽ってはオーディエンスに話しかけ、声を枯らすようにシャウトするダパートン。え、ガス・ダパートンってこんなに熱いヤツだったの!?ベットルーム・ポップ的な音源のイメージとは裏腹の激しいパフォーマンスにオーディエンスは驚き、気づけばその気さくなキャラクターに引き込まれてゆく。
強烈だったのはダパートンだけでなく、3人のバンド・メンバーにも言えることだ。特にキーボード担当の女性。なんとダパートンの実妹だという彼女は、その巧みな演奏とコーラスもさることながら、あわよくば兄よりも目立とうというようなオーヴァー・アクションぶりが最高にキュート。幼なじみだというベーシストとドラマーの立ち振る舞いもじつにアグレッシヴで、総じて彼らはサポート・メンバーというより、むしろダパートンを中心とした一枚岩のロック・バンドといいたくなる感じだった。
いよいよライヴ終盤に差し掛かると、「My Favorite Fish」「Gum, Toe and Sule」といった一連の人気曲を畳み掛けるように披露。ダパートンの熱演ぶりにオーディエンスもシンガロングで応え、「World Class Cinema」の大合唱で、この日の本編はついに閉幕。しかし、ここからがまた凄かった。
アンコールの声に応えて再びステージに登場した4人が演奏し始めたのは、なんとビートルズの名演で知られる「Twist and Shout」のカヴァー。その荒々しい演奏でオーディエンスにまたしても火がつき、フロア前方はもうグチャグチャだ。それこそジョン・レノンさながらの激しいシャウトを繰り返すダパートン。その姿はまさにロック・スターだった。
客電がつくと、フロアは汗だくのオーディエンスで溢れていた。ダパートンがこんなにロックンロールなやつだったとは、いったい誰が予想できただろう。いずれにしても、僕はこの日のライヴを目撃したことで、ガス・ダパートンのことがもっともっと好きになった。というか、きっと会場に駆けつけた人はみんなそうだったんじゃないかな。だって、あんなにハッピーなヴァイブスを全身で撒き散らされたら、そりゃ好きにならずにはいられないよ。
Text by 渡辺裕也