Encantado
System 7
RELEASE: 2004.10.09
永遠に“プログレス”する孤高のギターリスト、スティーヴ・ヒレッジとミケット・ジローディが創り出す世界観。それはサイケデリック、ハウス、テクノ、トランスなど、あらゆる要素を採り入れ、限りなくスピリチュアルでミステリアスに昇華されたもの。
70年代の伝説のハード・プログレ・バンド、Gongでの活躍を含めると、すでに30年以上のキャリアを持つスーパー・ギターリスト、スティーヴヒレッジとその妻でもあるキーボーディスト、ミケット・ジローディによるユニット、System7が前作『SEVENTHWAVE』からはや3年、オリジナルとしては8枚目となる『Encantado』をリリース。今作は往年のスペイシーでアンビエントなギターは健在しつつ、よりプログレッシヴアプローチを試みており、サイケデリック、トランス、テクノの間に新たなジャンルを確立するといっても過言ではない。このアルバム制作おいて、彼らのインスピレーションの源となったメキシコのコバへの旅につてヒレッジが語る。
“僕らがコバを訪れたのは今回が3回目なんだ。おそらく、そのなかでも最もマジカルだったのはユカタン半島のマナのピラミッドだ。トゥルムにもどるためのタクシーを待っている間、僕と妻は古代の湖のそばでしばし時間を過ごしたんだ。そうしたら、そこでエレクトリカルな存在の何か神秘的な感情に襲われたんだ。紀元前10世紀ころに途絶えたとされている古代のマヤ人には一体何が起こったんだろう?もともと10万人の人口を誇ったコバを建設した人々が、この同じ小さな湖の岸を造った。タクシーが来て僕らの旅は始まったんだけど、運転手がフレンドリーで、ミケットはスペイン語で会話をし始めたんだ。運転手はコバの村で生まれ育って、そして彼の家系も元来そこに住み続けたマヤ人だった。僕らは彼にどんなにコバが気に入ったか、そしてそこで経験した不思議な体験の話をしたんだ。すると彼は言った、「それは全然不思議なことではない。あなた達は私たちの先祖のスピリットを感じたんだよ。彼らはエンカンタードなんだ」と。そして僕らが「それは僕らがあのピラミッドを建てた古代マヤ人のスピリットをも感じることができるってこと?」と聞いたら、彼はこう答えた。「もちろんさ。私たちみんながエンカンタードだから」(“Encantado”はスペイン語で“Enchanted”(魅惑の)もしくは“Entranced”(恍惚とする)という意味)。”
アルバムのアート・ワークは99年にメキシコのコヨアカンでウイチョル族から彼らが購入した毛糸の絵画がベースになっている。スティーヴとミケットが経験したスピリチュアルな体験が、メキシコまで行かずとも、このアルバムを聴くだけでいつでも体験できてしまうだろう。