コロナによる延期を経てついに実現したツアーや、待望の初来日公演、また多くの音楽ファンが集まったポップアップイベントなどをピックアップ！

好きな音楽を映像と合わせて堪能できる必見のMVたち！

大規模展覧会「BRIAN ENO AMBIENT KYOTO」が大きな話題となったブライアン・イーノを筆頭に、新作や来日に合わせて数多くの大御所たちの名盤が新装盤で再発！ファンなら必ずコレクションにいれたくなるマストアイテムばかり！

　昨年は病気で手術し、今年は春先に足首を骨折し今も松葉杖。もう、この世の優しさを凝縮した音楽しか聴きたくないんです。それも踏まえた、アークティック・モンキーズとザ・ナショナル。特に前者は、ここまでたどり着いたのかと、曲や音や言葉を読み解く快感を久々に味わっています。
　いい邦楽を国内外に伝える仕事柄、特に今年惹かれたのは日本のヒップホップ。多文化の背景を持つSkaaiさんの謙虚な真摯さが好きです。歴史を美しく繋いだDJ RYOWさんやDJ TATSUKIさん、エンパワーメント感も素晴らしいあっこゴリラさんやAwichさん、期待の若手Ido Kyoさん、who28さん、Gokou Kuytさんら、オリジナルで広く深い世界にとても元気づけられました。
　あと、K-Popは今年も見事な曲が多数。特に、このジャンルを聞かず嫌いだった夫や友人たちにSeventeenの「Darl＋ing」を聴かせ驚かせるのが楽しかった。最後まで聴くのがポイントです。




2022年程、現代性というものが、”異なる時代のレイヤーである”ということを実感させられた年はなかった。過去の音楽の伝統を継承しつつ、現代的な感覚をどうやって取り入れているか？ということが問われやすいジャズやソウルにその傾向は顕著だったように思う。ジャイルス・ピーターソンとブルーイのSTR4TAのセカンド、ジョセフ・マリックのリミックス・アルバムにおけるキャピタルA、そしてディーゴの新作など新人ではなくベテラン・アーティスト達に刺激を受けた。彼らが先鋭的且つ現代的であるのは、作品の断面を検証した際に、音の地層とでも呼ぶべきそのレイヤーが多様であるっからだ。キャリアが成せる技であるからだろうか？ジャンルだけでなく、時代をクロスオーバーさせる音楽は引き続き注目して行きたい。




戦争と冬の寒さのダメージが抜けず、上半期は心身共にきつかったです。そんな中The Smileの連投配信は楽しみでした。アルバム『A Light for Attracting Attention』一曲目「The Same」の「皆同じものを望んでいる」の言葉が印象的でした。Alabaster DePlume 「Don't Forget You're Precious」の囁き、大石晴子「さなぎ」の「あなたの声は誰のものにもならないんだから」の一節は力強かったです。心の自治としての音楽に出会い直したような一年でした。下半期は来日も活発になり、Pino Palladino and Blake Millsや、Big Thiefのステージに感性を揺さぶられました。雪解けの洪水に持ち堪えられるか、踏ん張らなければと思っています。




今年は、ブライアン・イーノの展覧会『Brian Eno Ambient kyoto』が開催され、代官山 蔦屋書店では、連動して｢ENOSHOP｣を展開させていただきました。シームレスに繋がれたアンビエント・ミュージックとアートによる素晴らしい空間芸術を体感できたこと、これはとても大きかったです。
また、この冊子を手にされている方なら、海外アーティストの来日公演を何よりも心待ちにされていたと思います。コロナ禍前のように戻りつつありますが、まだまだ直前までわからず、ライブを観るたびに来てくれてありがとう！という気持ちでいっぱいです。
お店も海外のお客様が増えはじめました。来てくれると嬉しいですね。ありがとうございます。
最後に、ウクライナの人々が普通の生活を取り戻す日を願っています。War Is Overになりますように。




ここ数年嬉しい活況が続いてきたUKインディーシーンが、さらに高次元に突入したのが2022年だったという印象です。ポストパンクという便宜上のカテゴライズが無意味になり、ブラック・ミディとブラック・カントリー・ニュー・ロードの新作を同じボックスに入れて語るのが不可能だったように、個々のアーティストの独自路線が鮮明化して、それが本当に面白かった。中でも個人的ベストはウェット・レッグとキャロラインのデビューアルバム。瞬発力と突破力のウェット・レッグと持久力と喚起力のキャロラインという真逆の方向に極まったニューカマーの作品が、今のUKインディーの層の厚さと広がりを実感させてくれたからです。もう一枚はもちろんアークティック・モンキーズの『The Car』。間違いなく現行UKインディー最大のバンドである彼らが、シーンにマッピングできない孤高の王者であることを（またしても）証明した傑作だったなと。2023年こそ切に切に来日して欲しい。




ジャズ・ミュージシャンたちがトレンドも市場も意識せず、好きなことを自由にやろうとしている良作が多かった気がします。その中でも自身の演奏の魅力を前面に出してアピールしている作品が目を引きました。年間ベストであげたイマニュエル・ウィルキンスやジュリアス・ロドリゲスがその代表で、ここであげた3作もそんな印象。ブランドン・コールマンはこれまでになくがっつりピアノ弾いてて、トム・スキナーもばっきばきにインプロやっていて、ドゥームキャノンはUSの流れも汲んだスタイルを随所に聴かせていた。ジャズ好きな人が「ジャズをそのままやっても良くないか？」って素直にやってる感触も。インプロの抽象性をそのまま活かしたジェイムスズー『Blind』も良かった。いい演奏を聴きたい欲を満たしてくれる作品が増えるのはうれし限りです。




今年も色々な音楽を聴けたのですが、改めてこの先何度もアルバムで聴きたいと思える、レコードで欲しい音楽はこの3枚でした。幸運なことにそれぞれ一度ずつライブを観る機会があり(Alex Gだけ数年前)、改めてライブの素晴らしさを改めて教えてくれたアーティストでもあります。どの作品も、音源からでも生演奏の浪漫を感じるような、人間味があって心の通った作品。勢いやスピード感を活かした昨今のインターネット色の音楽も大好きなのですが、心のより深いところで聴けたと感じたこの3枚が今年のベストアルバムです。2022年、日本のバンドの中では Anorak!のライブが一番熱量がありベストアクトでした。




わたしにとって今年は、いかに自らの見識や領域が透明化された(もしくは、自らがそうした)規範によって既に構成されているか、そして、音楽の実践がそれらを乗り越えクィアする可能性に満ちているかを確認し直すような年でした。歴史の中で既に「検討された」もしくは「完成された」と見做されているようなある音色や処理が、その時代の生む品質の概念と共にあったことと、それらが全く見知らぬ異化を待っていることを実感させられるような作品との出会いが多かったです。Beyoncé——とりわけ「BREAK MY SOUL」におけるBig Freediaからのサンプリングやそのサウンドデザインは、Beyoncé自身の文脈とレスポンシビリティの非常に強い再実践であり、わたしにとっては最も刺激的で、心地良く、得体の知れないものでした。




今年はぼくにとってエイドリアン・シャーウッドの当たり年でした。
極めてオールド・スクールな人間ですが、オーソドックスな中に個性的で新鮮味のある音楽が好きです。これまでエイドリアンが手がけてきた膨大な数の作品の中で何といってもビム・シャーマンの1996年の名盤『Miracle』が愛聴盤です。恥ずかしながら名前だけ知っていたジェブ・ロイ・ニコルズの新作を聞いた途端に、すぐに連想したのはその『Miracle』のサウンド作りでした。墓穴を掘りつつある人類の行く先を素朴に嘆く一種のコンセプト・アルバムですが、エイドリアンの助けを得た結果、『Miracle』と同様におそらく一生聞き続ける作品ではないかと、出会ったばかりなのに思っています。




アーティストのルーツや世代と音楽性を照らし合わせた時のギャップ。Mix感覚。振り返るとそうした新鮮な驚きを感じる作品に対して、店頭での共感度合いが高かったように思います。その筆頭とも言えるのがWu-Lu『LOGGERHEAD』。サウスロンドンの中でも際立ってハイブリッドなサウンドは何度聴いても発見があり、音楽ってこういう風に噛みしめるのが楽しいよね、という事を改めて実感させてくれた作品でした。Loraine Jamesの別名義Whatever the WeatherもIDM以上にアンビエント色が濃く意表を突かれつつも、楽曲の表情が緩やかに変化していくアルバムの展開が心地良く、店頭でWantが絶えない1枚に。ジャズ方面からはZ世代のデュオDomi ＆ JD Beck。テクニカルな演奏と超豪華な客演陣も然ることながら、純粋に2人のブライトでポップな感性がギュッと凝縮された作風に眩しいくらい魅力を感じます。




2022年。5月のTHUNDERCATの来日辺りから、洋楽に関わる空気が一転した感じですね。久々に味わった海外アーティストのライブだったその日はオーディエンスの空気感も最高で本当に泣けました。それ以降はダム決壊のごとく来日公演渋滞中という感じで続々と決定してて、お財布事情は厳しいのですが嬉しい限りです。お店的には完膚なきまでに円安にやられていまして（ウクライナ情勢も。。。）、仕入れ値、送料高騰などで販売価格急騰。それによりただでさえ来日公演が増えて厳しいやりくりしてる洋楽ファンの懐事情直撃という感じで、その波くらいまくってます。やばいです。と、毎年必至ながらなんとか切り抜けてやっていけてるので、必要としてくれている方の為にもめげずに頑張ろうと思います。よろしくお願いします。よく聞いた3枚！




長引くコロナ禍ですが、国内においては徐々に催しも増え、パーティー的な能動的エネルギーが再び欲されている気運も感じました。しかし数ヶ月先の状況が見えにくい状態は変わらず、並行してカームでアンビエントなフィーリングへのニーズも持続していたようにも思います。
各国のコロナ対応も様々で、大きな流れ、トレンドの見えにくい、島宇宙現象に拍車がかかっているのかなとも。
個人的には、ダンス系、アンビエント系新譜は追いつつ、その他雑多に新譜旧譜聴いていたのは連年通りでした。
近年、自分のルーツの一つであるオールド・ピュア・テクノを聴き返していたので、〈WARP〉のシンボリックなピュア・テクノ・コンピ再発は印象的。
ドリーミー・ポップなPanda Bear & Sonic Boom、フローティング・レゲトンのDJ Pythonも愛聴。

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