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Future Islands / 貴重なロング・インタビュー公開!*後編

2020.10.13

Future Islands / 貴重なロング・インタビュー公開!*後編

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Future Islands / 貴重なロング・インタビュー公開!*後編

interview : Future Islands
過去の亡霊と向き合い、新たな希望について歌った最新アルバム
インタビュー・テキスト : 松林弘樹

『As Long As You Are』:フューチャー・アイランズが3年ぶりにリリースする新作は、『あなたがいる限り』というタイトルがつけられた。2020年に発表する作品としては、これ以上ないメッセージ性を内包させるアルバム・タイトルだろう。

ファーストアルバム『Wave Like Home』から新作『As Long As You Are』まで、エモーショナルな演奏と心象風景の機微とを詩的に描くことを一貫してやってきたバンドが、フューチャー・アイランズだ。

8月上旬に行ったバンド・メンバー全員への公式インタビューでは、今まで求め続けてきた音楽性の変遷を明らかにしつつ、ニュー・アルバムを制作する過程でおこなったバンドの新たな挑戦についても真摯に話してくれた。

以下のインタビューは、10月9日にリリースされる『As Long As You Are』の国内盤解説では文字数の関係上、なくなく省かざるを得なかった発言をまとめたアウトテイク・バージョンだ。今まであまり語られてこなかったフューチャー・アイランズの楽曲制作の過程、積み重ねてきた音楽性を一度崩し原点へ立ち返ってみる必要性、さらに、ボーカリストで詩人でもあるサミュエルの表現の根幹に触れられるような発言の数々に、バンドの未知なる魅力を感じるかもしれない。

*インタビュー前編はこちらから
http://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=11476

Future Islands メンバー :
サミュエル・T・ヘリング(Vo)
ゲリット・ウェルマーズ(Key、Prog)
ウィリアム・キャッション(B、G)
マイケル・ローリー(Dr)


- 今作は、シンセ音のレイヤーが非常に美しいです。フューチャー・アイランズの過去の曲たちを形作ってきたシンセサウンドは、今回どのように変化したのですか?

ゲリット : 俺が使っているシンセ・ギアの大部分は、リーズンというソフトウェアを使ってて今回も基本は変わってないよ。今回導入したのはムーグのモデル Dだね。あと、ストリングス・シンセサイザーは使ったね。

ウィリアム : お前の声を使ったやつは?

サミュエル : ゲリットは、フューチャー・アイランズ特有のサウンドをいくつか持ちネタとして持っているんだ。

ゲリット : そうなんだよ。自分の声から作ったパッチがあるんだけど、キーボードに変換してある。昔はフューチャー・アイランズの曲の全てにそれを入れて重ねていたんだけど、もうそれはやめたんだ。

サミュエル : ゲリットは、音楽界で最も美しい声の1つを持っているのに、それを誰も知らないんだ(笑)。

ゲリット : いまだにバック・ボーカルもつけてもらえないよ(笑)別に良いけどさ。

(一同笑):

- 収録曲「The Painter」に代表されるように、今作には様々な曲でオリエンタルなメロディーやハーモニーがあり、エキゾチックなシンセ音のスケールやフレーズが展開されます。これには何か影響を受けたことがあったのですか?

ゲリット : マライアという日本のバンドを聴くようになったんだ。プログレッシヴロックやジャズの世界から始まって、エレクトロニックの方面に進んでいったグループだと思うんだけど、彼らのサウンドにすっかりハマってしまってね。80年代のアルバムだよ。引っ切り無しに聴いていたから影響として表れていると思う。

マイク : 彼らのアルバムが出たのは84年だっけ?

ウィリアム : 1983年のアルバムだね。タイトルは『うたかたの日々』。

- なるほど、そうだったんですね。では、サミュエルに質問です。サムのボーカルの定位は、今までの作品の中で今回のアルバムが一番近くに感じますし、生々しいライブ感があるようにミックスされているように感じます。新作がこのようなボーカル定位に変化した理由はありますか?歌い方も少し変化してきていませんか?

サミュエル : 俺の声は確かに変わった。俺の声は常に変化している。自然の劣化だ(笑)ツアーをしたり、多くのシンガーと同じように声帯の問題があったり、タバコの吸い過ぎや歌い方がハードだからというのもあって(笑)、常に声が変化している。それはそれで面白いことで、アルバムごとに自分の声を乗りこなして、自分がその時の声を使って何ができるのかを探るんだ。声のトーンや雰囲気についてもう少し説明すると、『Singles』の時は、クリス・コーディーと一緒に制作したんだけど、アルバムで俺の声の定位をあそこまで全面に持ってきた人物は彼が初めてだった。それは俺にとってものすごく恐ろしいことだったんだ。俺は、自分の声はまあまあだと思うけれど、自分の声がものすごく好きというわけでもないんだよ。自分の声を使って色々なことができるというのは理解してたけど、自信がなかった。俺のボーカルを全面に出してくれたのは、クリスが初めてで、俺はそれをしばらくの間、恥ずかしがっていたけれど、ようやく自分の声の美しい部分や良い性質などを理解できるようになった。声が割れてしまう部分なども、自分の声の特徴や性質としてありがたく思えるようになったのは彼のおかげなんだ。

- そうだったんですね。

サミュエル : セカンドアルバムの『In Evening Air』をレコーディングした時の話だけど、「Vireo's Eye」というアルバムの最後の曲を仕上げているときに、プロデューサーのチェスター(・エンダースピ―・ヴィアズダ)に「リバーブをたっぷりかけてくれないか」と懇願していた。「リバーブをいっぱいかけてボーカルを落としてくれないか?声をミックスにもっと埋めてくれないか?」と頼んでいた。あのアルバムに対して、多くの人がそのことについて不満を言う。でもそれは俺が望んだことなんだ。なぜなら俺は自分の声を信用していなかったし、自分の声が好きじゃなかったから。

- なるほど。

サミュエル : 今回の『As Long As You Are』のためにスティーブと作業した時は、自分の声をできるだけ前にして、リスナーに感情を届けられるようにしたいと思っていた。自分の声を、欠点も含めて信用して尊敬することができるようになったと言うことだと思う。

Future Islands - Thrill (Official Video)


- では更に収録曲について聞かせてください。収録曲「Waking」のタイトルは、サムが好きな詩人セオドア・レトキからのインスパイアでしょうか?

サミュエル : レトキは、俺の作品の一部分として常に存在する人物だけど、これは違うんだ。「Waking」は元々、アラバマ州バーミンガムで行ったサウンド・チェックからできた曲で、あの曲は1年半くらいの間「Birmingham」と呼んでいた。それがライブでやるようになって、ウィリアムがセットリストに「B-ham」と書いたから「B-ham」になった。するとコアなファンの間では、フューチャー・アイランズの新曲で「B-ham」と言うのが出るらしいと噂が沸騰しちゃったんだ。アルバムが完成するという時期になり、さすがに「B-ham」と言うタイトルでは出せないだろうと言うことでみんなでタイトルを考えて「Waking」に決まった。俺たちが曲を作っている時は、作業中に仮タイトルをつけることが多い。それはゲリットがその瞬間で思い付いたタイトルなんだ。あまり良いストーリーでなくて申し訳ないね。

- それでは、いまのコロナ禍でフューチャー・アイランズのファンに読んでみてほしいオススメの作家を挙げてもらっても良いですか?

サミュエル : まずはガブリエル・ガルシア=マルケスの「コレラの時代の愛」。俺は最近、曲を作っていて、それを「コロナ時代の愛」と名付けたかったくらいだからね(笑)とにかく、とても美しい本だよ。マルケスは一日中読むことができるね。 それからイタロ・カルヴィーノも大好き。俺が理解できないような、はるか彼方まで行っちゃっている内容のものもあるが、大好きな作品も多い。ジョン・ファンテという作家も好きだ。村上春樹も好きで影響を受けているね。とにかく、イタロ・カルヴィーノは面白いよ。

- ありがとうございます。アルバムの話に戻りますね。新作『As Long As You Are』に収録されている曲の歌詞には、海、海岸、波、河、雨、グラスの水など、様々な「水」をモチーフに書かれているものが多いです。「On The Water」や「Ancient Water」といった過去にリリースされたタイトルの曲もあります。サムが「水」に惹かれる理由って何だと思いますか?

サミュエル : この質問を受けるまで、今回こんなに「水」について書いているなんて気付かなかったな。そうだな、俺はノースカロライナ州の湾岸で育って、俺とゲリットは11歳か12歳の頃から同じ町に住んでいた。俺の出身地には防波島があって、橋を渡って車で10分くらい行ったところにビーチがあるし、自宅から2、3分歩いてもビーチがある。近い方は波も穏やかでとても綺麗だ。だから海と入り江の両方がある。若い頃、俺にとっては、その2つとも全く違う意味を持つものだった。入り江は静かで1人になれる場所で、入り江に行く時は大抵1人だった。1人で行ってその美しさを受け止められる場所。そして海(ビーチ)は、人が大勢いて、賑やかで、力強い波が打ち寄せていたり、底引き流れがあったりした。水は、俺の子供時代や若い時を象徴するもので、懐かしさを感じさせるものだと思う。それと同時に水という普遍的なものに対して、それは、俺たちを洗浄してくれたりする一方で、とても力強く、俺たちに生命を与えてくれるが、死に至らしめることもできるという不思議なものだという思いが子供の頃から強くあった。水という存在自体が、ものすごく詩的なんだ。俺にとって水は大切な存在だから、何らかの水辺の近くじゃない場所に住むのは自分にとっては難しいと思う。

- アルバム最終曲「Hit the Coast」の歌詞には古いカセットテープが登場します。どうしても捨てられない、若しくは、思い出深いお気に入りのカセットテープはありますか?

マイク : 俺が子供の頃、うちの車にはテープ・プレイヤーが付いていなかった。でも俺は小型のラジオデッキを持っていたから母親が運転している時、俺はそれを膝に乗せて車に乗っていた。俺と母親はマイケル・ジャクソンにめちゃくちゃはまっていて、『Off the Wall』と『Thriller』をずっと聴いていた。あのテープはボロボロになるまで聴いていたよ!それから高校の時は、パンクやハードコアのコンピレーションを聴いていて、バッド・ブレインズもよく聴いていて、『Rock for Light』のカセットはボロボロになって、壊れるまで聴いていた。メタリカの最初の何枚かのアルバムはカセットで持っていたし、サークル・ジャークスもカセットだった。学校に行く途中にカセット・プレイヤーで聴いていたね。

ウィリアム : 俺には11歳と14歳年上の姉が2人いて、俺が幼い頃から姉たちのお古のカセットがたくさんあった。『Rave Til Dawn』というタイトルのカセットがあって、それは90年代初期のテクノやレイブ音楽のコンピレーションだったんだ。姉の1人がレイブに行ってたから、俺もレイブって超カッコいいなって思ってて。俺はまだ幼かったけど、姉はレイブの踊り方を教えてくれた。姉のベッドルームで遊んでいて、姉と一緒にレイブダンスをやったりしていたよ(笑)多分、俺が9歳とかそのくらいの頃。それから、お古でザ・キュアーによるコンピレーションアルバム『Staring at the Sea』をカセットにダビングしたものをもらった。それで初めてキュアーを知った。そこから夢中になったよ。テープにはそういう思い出があるね。それに車の中でテープを聴いていると、運転中だから、それをひっくり返したりテープを変えるのもそう簡単にできない。テープが車の別のところにあったり、聴きたいテープが見つからなかったりして。だから、結局、アルバムを通しで何度も何度も聴いてしまう。俺はテープのそういうところに感謝している。俺は大学時代にひどい彼女がいて、その時にディペッシュ・モードの『Violator』が車のテープデッキにずっと入っていて、そればかり聴いていた。あのアルバムは最高だよ。

ゲリット : 最近、俺はあるカセットを見つけたんだが、映画「Home Alone」で有名になった「トーク・ボーイ」というボイス・レコーダーを知っているかい?俺は子供の頃、ミュージック・ビデオが放映されているチャンネルを観たり、自分が聴きたいような音楽を聴かせてもらえなかったんだ。だから学校から戻ると、俺は「トーク・ボーイ」を使ってテレビから流れるミュージック・ビデオのオーディオだけ、こっそりと録音していた。それを夜に1人で聴けるようにね。だからそのテープにはサー・ミックス・ア・ロットとかボーン・サグズン・ハーモニーなど、親が絶対に買ってくれないような音楽がたくさん入っていた。そのテープを最近見つけたんだよ。

マイク : それをアイダ(*ゲリットの生まれたばかりの娘)のベッドに置いて聴かせてあげなきゃな。「アイダちゃん、初めてのテープですよ」って。「サー・ミックス・ア・ロットとボーン・サグズン・ハーモニーのミックスですよ」って(笑)

サミュエル : 俺には捨てられないテープが山ほどある。俺は高校や大学の頃、フリースタイルをいつもやっていたから、友達とフリースタイルをしていた時のテープが山積みになっているんだ。それはビートに合わせてやっているのもあるし、両親の家の裏庭や、海の近くで、自分たちでビートボックスしながら、それに合わせてフリースタイルしているものもある。テープの中には、もう亡くなってしまった人も入っているし、壊れてしまったテープもあって、直してはみたけど元に戻らないものもある。そういうテープがたくさんあって、そういうのはどれだけ破損していても絶対に捨てられない。作品として俺にとって大切なものだからね。それから俺とゲリットには、ジュンジという日本人の友達がいて、彼は1999年か2000年に大阪から転校してきた奴だった。ジュンジは当時英語を勉強し始めてからまだ4、5ヶ月くらいで、あまり英語を話せなかった。もちろん、俺も全然日本語を話せなかった。彼は転校生としてうちの高校にやってきて、英語もよく分からなくて、知り合いもいなかった。彼はいつもヘッドフォンをつけていて、CDの束を持ち歩いていた。そこで俺とゲリットが彼に話しかけたら、彼はヒップホップが大好きだった。その時、彼は15歳か16歳だったけど、日本のクラブでDJをしていたらしい。それなのに、こんなド田舎に転校してきちゃったんだよ!!!アメリカに引っ越すと聞いて、最初は「やったー!」と思ったかもしれないけど、俺たちの地元の街なんて悪いけど、ほんと何もないからね(笑)とにかく俺たちとジュンジはそういう経緯で仲良くなった。そして彼のESL(第二言語としての英語)の先生がジュンジは音楽が好きだということを知って、ブルース・スプリングスティーンのベスト曲のミックス・テープを作ってプレゼントしたんだ。ある日、俺はジュンジの家に遊びに行って、そのプレゼントされたブルース・スプリングスティーンのテープの上にフリースタイルをしまくった。だから今でも「ブルース・スプリングスティーンのベスト曲のミックステープ」と題名が書かれているテープを俺は持っていて、そのテープでは、俺とジュンジともう1人の友人のブライスがその上でフリースタイルしているんだ(笑)。A面の全部とB面の半分までは俺たちがふざけていたり笑っている音が入っていて、その後は、曲の途中からブルース・スプリングスティーンに切り替わるから面白いんだよ。

- みなさん、貴重なエピソードを話してくださってありがとうございます(笑)。

サミュエル : ちなみに、「Hit the Coast」に出てくる古いテープはザ・キュアーの『Seventeen Seconds』のテープのことなんだよ。

- そうなんですね。海岸へ向かおうと走り始める「Hit the Coast」でアルバムが終わることに希望を感じます。日本で新作を聴くFuture Islandsのファンやあなた達のライブを心待ちにしているファンへメッセージをいただけますか?

サミュエル : みんなと会えなくてすごく残念だよ。みんなに早く会いたい!FUJI ROCKはとても残念だけど、絶対に日本には戻ってくるし、その時は俺たちの最高のライブを披露するからね!

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