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James McVinnie / スクエアプッシャーことトム・ジェンキンソンが作曲し世界屈指のオルガン奏者ジェイムズ・マクヴィニーが奏でる怪作『All Night Chroma』本日リリース!ロンドンの教会で行われたスペシャルコンサートのレポートが公開!

2019.09.27

James McVinnie / スクエアプッシャーことトム・ジェンキンソンが作曲し世界屈指のオルガン奏者ジェイムズ・マクヴィニーが奏でる怪作『All Night Chroma』本日リリース!ロンドンの教会で行われたスペシャルコンサートのレポートが公開!

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James McVinnie / スクエアプッシャーことトム・ジェンキンソンが作曲し世界屈指のオルガン奏者ジェイムズ・マクヴィニーが奏でる怪作『All Night Chroma』本日リリース!ロンドンの教会で行われたスペシャルコンサートのレポートが公開!

スクエアプッシャーことトム・ジェンキンソンが作曲を手がけ、世界屈指のオルガン奏者ジェイムズ・マクヴィニーが演奏する話題の怪作『All Night Chroma』が、いよいよ本日リリース!
今年30周年を迎えた〈WARP RECORDS〉からのリリースとなる今作は、CD/LPともに世界限定1000枚/ナンバリング付。レア化必至の貴重盤となっている。本日のリリースに合わせ、先日ロンドンで行われたジェイムズ・マクヴィニーによる本作のスペシャルコンサートのレポートが公開!

All Night Chroma recital with James Mcvinnie, 23/September, St Andrew in Holborn

 あいにくの小雨に見舞われたロンドンの秋の夕べ、トム・ジェンキンソンことスクエアプッシャーと世界有数のオルガン奏者ジェイムズ・マクヴィニーとの異色コラボレーションを収めた話題作『All Night Chroma』発売を目前に控え、聖アンドリュー教会でミニ・リサイタルがおこなわれた。招待客のみのインティメイトな場は、ある意味ギャラリーでの個展初日/プレヴューを思わせるものだった。
 その印象を増したのは、通常のライヴ会場やコンサート・ホールとは異なるシチュエーションもあっただろう。入場時に、「入り口と向かい合わせのベンチに座るのをお薦めします」と告げられる。多くの場合、教会オルガンは十字架が設置された祭壇=前方に背を向けているため会衆には見えない。礼拝ではなく演奏を聴くのが主眼である今夜の観客のために、教会側はベンチの向きを変えて対応していた。移動できない巨大楽器であるパイプ・オルガンは、それが据えられ、その空間の音響に合わせて調整された場所(教会、ホールetc)まで行かないと体験できない、一種のサウンド・インスタレーションに近い。
 まずジェイムズ・マクヴィニーが登場し、2部構成である『All Night Chroma』の第1部の4作と第2部の1作、およびその間にオリヴィエ・メシアンのピースもひとつ披露すると説明。2016年の一夜にロイヤル・フェスティヴァル・ホールで録音されたアルバム『All Night Chroma』では同ホールに1954年に設置された巨大オルガン(パイプの数は8千本近い)の古風な味が楽しめるが、今夜使うオルガンは1989年製なのでバロックな音です、とのことだ。
 とはいえ『All Night Chroma』コンポジションは、オルガンと言えば頭に浮かぶバッハやヘンデルとはまったく異なる。木管楽器めいたくぐもったドローンの波に乗り、霧笛の太い振動、サステインされたフルート調の高音等、様々な音が緊張感をもたらし、唐突に現れる軽やかなグリッサンド、不協和音、スタティック・ノイズ、ジャズ的なクレッシェンドを奏でていく。「1台のオーケストラ」とも言われるパイプ・オルガンはかつて劇場や映画館で伴奏だけではなく特殊効果音も担当したそうだが、スクエアプッシャーはオルガンを電子楽器以前の「音楽器械」と看做し、その幅広いポテンシャルを非クラシック人ゆえの柔軟さで引き出そうとしているようだ。
 数段の鍵盤と無数のボタンが並び、演奏には細かいペダル操作に助手も必要なオルガンは、荘厳であると同時に70年代のシンセサイザーのように融通の利かなそうなメカニズムと映る。ゆえに「UFO's over Leytonstone」のイントロ部や「Mutilation Colony」を彷彿させる、セット前半の比較的アンビエントで動きの少ないムーディなピースはテクニカルな制約ゆえ?とも思った――スクエアプッシャーと言えば高速で強烈なブレイクダウンやビジーさが看板になってもいるし、さすがにそのミリ単位の変化には対応できないのか、と。だが、最後に登場した曲ではトーンそのものが変化し、複雑で目まぐるしい運指と共に音量も増幅、磁力で次々に吸い寄せられ接合する鉄球のような粘っこいサウンドが重たい轟音となっていびつな和音を響かせ、そのダイナミズムと体感度はさながら洪水だった。ジェイムズ・マクヴィニー本人も英ラジオ取材で『All Night Chroma』第2部は技術的に非常に難しいピースだと語っていたが、なるほど、あれだけのムーヴメントと隆起をたったひとりでこなすのは並大抵のことではないだろう。
 演奏後、拍手を浴びるジェイムズに招かれこざっぱりとヒゲも剃ってスーツ姿のトムも観客の前に現れ、深々とお辞儀。このジェイムズとのコラボレーション――起源は2016年春におこなわれた、「The Secret Life of Organs」と題されたザ・ネックスとの限定ツアー向けのオルガン曲制作に遡る――がいかに啓発される、喜ばしい経験だったかを、そして創作/作曲における彼の常套手段であるソロの殻を破ってくれたかを語った。今後もこうした外部とのオーガニックな共作に挑戦することで、スクエアプッシャーの幅は更に広がるはずだ。
 にしても、2016年と言えば『Damogen Furies』、そしてガチンコ生演奏集団ショバリーダー・ワンの活動に挟まれた時期なわけで、そのスキゾとすら言える活動ぶりと速度には改めて驚かされる。11月にはワープDJ軍団(笑)のひとりとして来日することになっているが、その頃にはもう、トムはまた何かとんでもないプロジェクトを進めていることだろう。止むことなく変化し続ける連続体から届いた、過去と未来を結ぶスリリングな実験報告『All Night Chroma』。そこに広がる未知の世界に飛び込んでみて欲しい。

Text by 坂本麻里子

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